諏訪岡谷地域における地域工業集積・産学連携ビジネス研究センター

大学・研究教育機関と諏訪岡谷の産業界をつなぐ!
国内各産業地域やアジア中国との連携を発展させる!

SIARCメルマガ vol. 7

2008年12月16日
諏訪産業集積研究センター(SIARC)会員の皆様
                 (^-^*)/ SIARC 事務局
サイアークメールマガジンvol. 7をお届けします。((o(^-^)o))
毎日の新聞テレビで報道されているように地域産業や経済の混乱は残
念ながらますます強まっていますが、先日ある地元出身大手企業元経
営者の大先輩からこんな時代だからこそ大学の先生がたの知恵を産業
界に生かすことが大事だとはっぱをかけられました。
サイアークは大学研究機関と地域産業界を結ぶという点でとても重要
なものになってきていると思います。
 
さて、本日の内容です。
 
・フィンランドSISU2010テクニカルツアーとDTFの交流会
・金沢工業大学訪問記(事務局大橋)
・航空宇宙産業展訪問記及び感想
・第七回サロンどサイアーク開催
 
 
◆10月28日29日
 フィンランドSISU2010テクニカルツアーとDTFの交流会
 
ちょっと古い話になりますが・・8月25日26日行なわれたDTF
国際フォーラムをきっかけにして
フィンランドからSISU2010テクニカルツアー一行がJIMT
OFをはじめとした日本国内の製造業関連の企業や地域などを見学。
ここ諏訪地域にも訪れました。
フィンランドの企業や大学、「TAKES」フィンランド技術庁の皆
さんなど30人が諏訪においでになりました。
 
28日午後から29日午前中にかけて岡谷諏訪地域で工場見学や交流
会と懇親会、特に交流会のなかではDTF研究会のメンバーを中心と
した諏訪側の企業やフィンランドの皆さんの自己紹介、特にフィンラ
ンドからは産業活性化のプログラム「SISU2010」の紹介があ
りました。
 
実は2004年に岡谷でおこなわれたSICE計測自動制御学会シス
テム工学部会(注1)「地域産業クラスターを基軸とした産官学の連
携と新産業モデルの創出」のなかでシドニー工科大学の小原重信先生
がフィンランドのこの件について詳しく「産業クラスターの設計・運
営・人材育成」ーフィンランド型プログラム視点からの教示ーという
論文で報告されていました。
 
「TAKES」やフィンランドの産業活性化プログラムについて触れ
れていて今読み起こしてみると非常に興味深いです。
 
小原先生のお話では1990年代後半、フィンランドの産業建て直し
に「TAKES」のもとに「産業活性化のプログラム」が国を挙げて
動き出し、これが短時日のうちにフィンランドの競争力を挙げた、と
いう話が報告されました。現在執行中のプログラムは「SISU20
10」と呼ばれている、というわけですね。
 
今回8月に続いて今回もおいでになったReijo Tuokko先
生はフィンランド産業クラスターのプログラムプロジェクトマネジメ
ントを担うSISU2010のProgrammeCoordina
torでもあるのでした。
 
フィンランドTAKESと諏訪地域とを単純にくらべることは問題は
ありますが手法としてのプログラムプロジェクトマネジメントや制度
設計はおおいに参考にしてもいいのではないか、と思いました。
 
(注1)SICEシステム工学部会は現在SIARC諏訪産業集積研
究センターの理事などをつとめている先生や諏訪地域の経営者などが
SIARCの設立前に諏訪地域で任意に活動を進めていたころ協力さ
せていただき2001年〜4年にかけて毎年岡谷で行なわれました。
 
★追伸 ちょうど
11月16日日曜日の午前中のテレビ朝日「サンデープロジェクト」
でフィンランドとデンマークの経済産業戦略のことをジャーナリスト
で経済評論家の財部誠一氏がレポートしていましたね。
・科学技術開発への積極的な取り組み
・人材教育への積極的な取り組み
そして産官学の連携が1990年代の経済不況から脱する力となった
、というレポートでした。
 
また、上記の「TAKES・フィンランド技術庁」のことやヘルシン
キ大学やベンチャー企業育成の現状などがレポートされていました。
入江湖畔に立つノキア本社への訪問レポートもありましたね。
諏訪地域とのイメージがかさなりました。
 
財部氏も言ってましたが
面積は日本の90%だけれど人口は500万人と日本より相当少ない
、から産業政策も同じではありえない、という意見も多い一方、日本
でも、地域産業集積や産業クラスターで考えれば同様の政策や戦略・
プログラムも描けるのではないかと思いました。
 
◆金沢工業大学訪問記(事務局大橋)
 
訪問記と呼べるような内容ではありませんが先日金沢工業大学のイベ
ント「KITパートナーシッププログラム」
があり、あまり時間はなかったのですが訪問してみました。
面白かったのが「夢工房プロジェクト発表会」でした。
夢工房プロジェクトでは学生が自分達の力だけでソーラーカー、レー
シングカー、人力飛行機、無人飛行機や省エネレースカー、などを作
って競技大会に出場しています。
 
「乗り物」が多いので結構メカ好き学生が参加しやすいこともあるの
でしょう、多くの学生がプロジェクトに加わっているようでした。
また、どれも学生とは思えない優秀なものをつくり全国をあいてにし
て良い成績をとっているのでした。
 
もちろん勝つことだけを目標にしているのではなく夢工房プロジェク
トを通じて様々な「マネジメントとものづくりの勉強」をしています。
 
先生を中心に研究室としてプロジェクトを進めているのかと思えばそ
うではなくあくまで先生や学校はなにかあったときの相談にのっても
らうくらいで1から10まで学生がプロジェクトを企画し予算も学校
や企業と交渉し設計や試験、製作、イベント参加、などのほぼすべて
のマネジメントと製作作業を行なっています。
 
当然こういうなかでは目標やビジョンを設定し必要な資源を集めてき
て全体をマネジメントできるマネジャーが育っていきますし「もの」
を作る力もついてきます。
 
実際、ソーラーカー、レーシングカー、人力飛行機、無人飛行機や
省エネレースカー、といった「乗り物」類では設計からシミュレーシ
ョン、金属加工からジグづくりあるいは最近でいえばカーボンコンポ
ジットの機体や車体などを自分達の力でほぼすべて作り上げており、
必要な知見に関してはそれを保有する企業などに「勉強」にいって学
んでくる、といったところまで行なっていました。
 
あれなら企業で採用したいような学生はたくさん生まれてくる、と思
いました。
 
特に中小企業でも充分必要となる人材でしょうしむしろ大手企業など
にいくよりは中小中堅企業でいろんなことをやらしてくれるほうが面
白いと思うような学生が多そうでこれはすばらしいなあと思いました。
 
地元諏訪では岡谷工業高等学校や諏訪理科大がロボットなどの競技イ
ベントに積極的に参加していますがこういった「イベント」と「プロ
ジェクト」の関係は大学だけでなく中小企業や地域産業の力を高めた
り人材の育成にも有効な方法だと思います。
 
今年三月、岡谷で京大喜多研究室、東工大寺野研究室、諏訪東京理科
大市川研究室の学生さんらが集合しサイアークの協力のもとものづく
りワークショップを開催しましたが、これも同じような目的や成果を
目指してのものです。
今後も引き続き開催していきたいと思いました。
 
 
◆航空宇宙産業展訪問記及び感想
 
航空宇宙産業技術展2008が11月27日から29日まで
名古屋で行なわれ見学に行ってきました。
 
国内航空機メーカーも出展していましたがどちらかといえばそれに携
わる国内中堅中小企業がこんなことをやっています、という展示アピ
ールが主な内容で、内容的にはなかなか濃いものでした。
特に地元の名古屋大学や名古屋工業大学などからも研究中の課題など
が展示されていました。
 
先日も岡谷市で、「航空産業に参入するために」のような内容で講演
会が行なわれました。
心構えと状況について業界関係者から詳しくお話がありました。
この間航空宇宙産業のイベントなどへの出展や意見交換などいろいろ
機会があり考えさせられることも多かったです。
 
グローバル化が進む中、合従連衡を進めて強大化していく海外のメー
カーとその下請け産業や販売商社として成り立とうとしている日本企
業・・・というイメージを強く持ちました。
 
名古屋岐阜、栃木群馬のようにとりあえずは「航空宇宙部品産業」が
成り立っている地域がありすでに一定の分野で先行しているとするな
らば諏訪や大田や東大阪など少量でも高い品位や精度を実現できる産
業集積地域にはなにかほかのアプローチがあるように思いました。
 
先日航空宇宙学会で知り合った大田区の部品製造業者さんはむしろ流
れている準量産部品ではなく航空会社やサービス会社(航空機メーカ
ーではなく)から緊急至急の部品やジグなどを24時間でうけつけて
供給することに方向性を見出しているのでした。
 
先日の勉強会でも数年に一度のまとまった仕事で一旦終わるとしばら
くはないが面白い仕事としては飛行機の機体生産のためのジグ・工具
づくりなどは参入しやすいのではないか、とおっしゃってました。
 
 
◆第七回サロンドサイアーク開催しました。
 
全部で28名の皆様がおいでになりました。
はじめて顔を見るかたも多く(印象的には過半のかたがはじめてのよ
うな感じがするくらい)場所を変えただけでいろんな刺激が生まれる
ものだと思いました。
 
>日時  12月5日   6時より
>場所  茅野駅前市民館喫茶店「カフェアンダンテ」
>★茅野市におけるオンデマンドバスについて
>★新型インフルエンザなど感染症と
> 無線カードでの動線やコンタクト密度の計測の話
 
内容等はまたの機会に・・・
茅野市民館の中の喫茶といういままでなかったシチュエーションで面
白かったです。写真でその雰囲気が伝わるでしょうか。
 
終了後は茅野市内で20人ほどで懇親会を行いました。
 
これもいつもとは異なる飲食店での懇親会で途中他の会議等から合流
してくるメンバーもあったりとなかなか面白かったです。
 
今回は茅野の若手?の皆さんで構成される「茅野未来会」の皆さんに
いろいろお世話いただきました。ありがとうございました。
 
昼間も茅野市内の工場見学や表敬訪問の機会をサイアークの先生がた
に作っていただきました。
今後も諏訪地域の各所で行なっていければいろいろと面白い展開もあ
るかと思います。ありがとうございました。
 
 
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SIARC諏訪産業集積研究センター事務局(大橋(⌒・⌒)ゞ
〒394-0033 長野県岡谷市南宮1-1-15
TEL 0266-21-7203 
FAX 0266-21-7201
◆会員の皆様の情報近況等どしどしお寄せください。
◆「サロンどサイアーク」や設立記念講演会、技術シンポジューム
の開催、学会のお手伝いなどいろいろな活動が行なわれています。
なにか「こんなことをやってみたら」、とかご意見アイディアなど
ありましたらぜひご連絡ください。
 
また、このメールマガジンはSIARC会員の皆様はもとよりこの間に
名刺交換など情報交換をさせていただいたかたにもお送りさせて
いただいております。


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